CONMEBOL Libertadores 2023コンメボル・リベルタドーレス 2023

今年のリベルタドーレスの決勝戦は、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるエスタジオ・ド・マラカナン（正式名称：エスタジオ・ジョルナリスタ・マリオ・フィーニョ）で11月4日に行われる。当欄では、マラカナンの現状と決勝戦までの取り組みについてリポートする。

マラカナンは10月22日にブラジレイロンの第28節「フラメンゴ vs バスコ・ダ・ガマ」を開催予定で、翌23日から11月4日までの13日間はCONMEBOL（南米サッカー連盟）が一時的に同スタジアムの管理を引き継ぐことになっている。メインは大一番を迎えるためにピッチの芝などを整備することだが、マラカナンには他にも複数の問題が散見される。

W杯ブラジル大会の前年（2013年）に全面リニューアルをしたマラカナンの管理は、フラメンゴとフルミネンセによる共同出資会社「コンソルシオ Fla-Flu（Fla-Flu コンソーシアム。以下、コンソルシオ社）」が担当している。だが、同社によるマラカナンの管理は必ずしも十分とは言えないのが実態だ。

マラカナンの管理不徹底は地元では有名で、座席の汚れや損壊、水飲み場の故障、トイレの便座破損、剥がれた床の放置、野良猫による糞尿被害と不衛生な状態が随所に見られる。こうした事実は2年前の2021年の報告書にも記載されていて、当時マラカナンのディレクターは「200万ヘアウ（日本円で約5,900万円）をかけて屋根の緊急工事も行った」と説明している。そしてコンソルシオ社は、フラメンゴとフルミネンセの両チームと連携してスタジアムの清掃を毎日欠かさず、ワークショップで日々椅子の修理もしている、と怠慢な運営はしていないことを強調した。

しかし、ブラジルのスポーツサイト「Globoesporte」が先月と今月にかけて撮影した写真は、マラカナンの管理不徹底を証明するものばかりだった。

前述の写真付き報告を受けて、コンソルシオ社は書面で反論。

「マラカナンは、スタンド、バー、トイレ、通路、スロープなど、スタジアムの全体において大規模な清掃とメンテナンスを毎日実施しています。これらの業務は、とりわけ試合開催後にはタスクフォースによって強化されます。40人で構成されるチームは、前述の業務を遂行するために必要な研修を適宜受けています」

「現在スタジアムには7万以上の座席があり、来場者の健康と安全性を確保すべく、試合後に検査をしています。残念ながら、来場者の中には不適切な使用をする者もいて、座席の上に立ったり、飛び乗るなどして座席を破損させる場合もあります。また、ビールなど飲み物をこぼすことで座席が汚れて滑りやすくなるといった別の悪化要因も確認されています」

「2013年の最後の改修以降、マラカナンでは10年間で約700もの試合が開催されてきました。天候やファンによる施設の不適切な使用によって、多くの座席がひどい状態になっています。試合をするたびに、修理または廃棄する必要を迫られる座席の数は約100に上り、憂慮すべき事態です。こうした事実を受けて、我々は座席を修理するためのワークショップを設立して、対応に追われています」

「マラカナンの管理上における優先事項は、試合の有無に関係なく、スタジアムで働くすべての者や来場者のために、安全で快適かつ清潔なスタジアムを準備しておくことであると、我々は繰り返し主張します。そして迅速かつ高品質な損傷部品の修繕・修理を促進する取り組みも、常に行われています。こうしたたゆまぬ努力が評価につながって、マラカナンは4年ぶりにリベルタドーレスの決勝戦を開催するスタジアムに選ばれました。そのあとには南米予選のブラジル vs アルゼンチン戦も開催予定です。我々は今後も投資を続けて、ハイレベルな仕事をキープしてまいります」

実態との乖離が著しい反論だが、今は責任者の追及をしている場合ではない。11月21日には南米予選の「ブラジル vs アルゼンチン」も開催予定だ。10月23日からCONMEBOLが管理することになる2週間で、マラカナンはどこまで清潔感を取り戻せるのか。