Diego Maradonaディエゴ・マラドーナ

現役時代にアルゼンチン代表のエースとしてワールドカップ優勝など輝かしい成績を残し、引退後はアルゼンチン代表監督も務めたディエゴ・マラドーナ氏が25日、心不全で亡くなった。60歳だった。

現地メディアが、マラドーナ氏の最期を克明に伝えている。
硬膜下血腫により入院したのが11月3日で、手術が無事に成功して一週間で退院したときには、誰もがマラドーナ氏の回復と完治を確信していた。

それから自宅療養になったマラドーナ氏は、11月25日の朝、いつものように目覚めると朝食を摂って少し散歩をしたのち、数時間後に再びベッドで横になった。マラドーナ氏のそばにはスイス医療の心理学者や精神科医、そしてマラドーナ氏の個人看護師が常駐。お昼に薬を服用しなければならないマラドーナ氏は正午に起きる予定だったが、アラームが鳴っても起きてこなかった。異変に気づいた看護師が起こしに来たときには、マラドーナ氏は体を揺すられても何の反応も示さなかったという。

看護師はすぐに救急車を呼び、1時間に渡り蘇生措置がなされたが、マラドーナ氏が息を吹き返すことはなく、死亡が確認されたと報じられている。

“偉大なるディエゴ”の死を受けて、現在はボカで副会長を務めている元アルゼンチン代表MFファン・ロマン・リケルメ氏は、自身のSNSへの投稿で哀悼の意を表した。
「誰もができないようなプレイを簡単にするのがディエゴ。彼のプレイは信じられないほど美しく、観ているだけで心を躍らせた。ディエゴには感謝しかないし、今は彼がゆっくり休んでくれることを祈っている。ディエゴのご家族に心からお悔やみ申し上げます」

生前、マラドーナ氏に「最高の選手だ。観ていて楽しい」と言わしめた元アルゼンチン代表FWカルロス・テベスは、同氏への想いを Instagram に綴っている。
「ディエゴ、あなたは不滅だ。あなたは決して死なない。あなたは私の心の中で永遠に生き続けるでしょう。王様の中の王様であるあなたをずっと愛している」
テベスと似たようなコメントは、元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチも出している。

なお、マラドーナ氏の逝去を受けて、ボカ・ジュニオルスは3日間喪に服す意向を表明し、この決定は AFA（アルゼンチンサッカー協会）とアルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領も支持・承認。その結果、ボカとアルゼンチン政府から公式戦の延期を要請された CONMEBOL（南米サッカー連盟）は、25日に行われる予定だったリベルタドーレスのインテルナシオナウ戦を一週間延期することを決定。インテルナシオナウにはCBF（ブラジルサッカー連盟）を介して伝えられ、インテルナシオナウもその決定に合意したため、1st.Leg は12月2日に行われることになった。

インテルナシオナウ戦に備えてポルト・アレグレに移動していたボカの選手団は、25日の午後の飛行機でブエノスアイレスに戻った。

25日、アルゼンチン国内では故人への哀悼を示すべく、多くのクラブチームが団結して誰もいないスタジアムをライトアップした。ボカ・ジュニオルスの本拠地ラ・ボンボネーラでは、故人が生前いつも座っていた座席のところだけに灯りを灯した。そしてボカの宿敵リーベル・プレートもエル・モヌメンタルをライトアップして故人を追悼。ほか、アルヘンティノス・ジュニオルスやベルグラーノ、キルメス、インスティテュート、テンペルレイ、ウニオン、ベレス・サルスフィエール、フェロ、バンフィエール、ロス・アンデス、インデペンディエンテ、パトロナートなど複数のクラブも倣って故人を追悼した。